Q1 『在留資格』ってなに?
外国人は日本に上陸する際に、原則として上陸地の入国管理局から上陸の許可を受けます。この許可を受ける際に、その外国人がどのような資格で、どれだけの期間日本に滞在できるかが決定されます。
これが、在留資格であり、その期間を在留期間と言います。
入管法には27種類の在留資格が規定されていて、それぞれの資格によって、その外国人がどのような活動をすることができるのかが決められています。
在留資格は、大きく分けて、報酬を受ける活動即ち働くことが許される資格かそうでないかに分けられます。
前者は、いわゆる「ワーキングビザ」とか「ビジネスビザ」と呼ばれますが、いずれも正式な資格の名称ではありませんので、注意が必要です。
個別の在留資格についてここで解説することはできませんが、いずれにしても外国人が日本に住みたいと考えた場合、その外国人がどのような在留資格を取得できそうかをまずはじめに検討しなければなりません。
Q2 外国人を雇用する場合に必要な在留資格は?
在留資格には27種類ありますが、そのうち就労(つまり働いて賃金を得ること)をしても良いとされるものは20種類です。
つまり、外国人が日本に滞在して働く場合は、必ずこれらの在留資格のうち一つを取得することが必要になります。
この就労可能な在留資格には、その行いたい活動内容や外国人の置かれた状況に応じて「外交」、「報道」、「人文知識・国際業務」、「技術」、「企業内転勤」、「技能」、「日本人の配偶者等」等があります。
なお、基本的には就労を認めていない在留資格であっても、一定の時間数等の制限を設けて、その範囲内であれば就労を認める(いわゆるアルバイト的な就労)制度(「資格外活動許可」といいます)もあります。
Q3 在留カードとは何ですか。
在留カードは、新規の上陸許可、在留資格の変更許可や在留期間の更新許可など在留資格に係る許可の結果として我が国に中長期間在留する者(中長期在留者)に対して交付されます。したがって、法務大臣が我が国に中長期間滞在できる在留資格及び在留期間をもって適法に在留する者であることを証明する「証明書」としての性格を有するとともに、上陸許可以外の在留資格に係る許可時に交付される在留カードは、従来の旅券になされる各種許可の証印等に代わって許可の要式行為となるため「許可証」としての性格を有しています。
Q4 どのような人が在留カードを持っていますか。
在留カードを持っている対象となるのは、入管法上の在留資格をもって我が国に中長期間在留する外国人(以下「中長期在留者」といいます。)で、具体的には次の①~⑥のいずれにもあてはまらない人です。
① 「3月」以下の在留期間が決定された人
② 「短期滞在」の在留資格が決定された人
③ 「外交」又は「公用」の在留資格が決定された人
④ ①から③の外国人に準じるものとして法務省令で定める人 (注1)
⑤ 特別永住者
⑥ 在留資格を有しない人 (注2)
(注1) 法務省令には、「特定活動」の在留資格が決定された、亜東関係協会の本邦の事務所(駐日台北経済文化代表事務所、同横浜支所、同那覇支所、同札幌支所、台北経済文化大阪事務所及び同福岡支所)若しくは駐日パレスチナ総代表部の職員又はその家族の方が定められています。
(注2) 外国人登録制度においては、不法滞在者についても登録の対象となっていましたが、新しい在留管理制度においては対象とはなりません。不法滞在の状態にある外国人の方は、速やかに最寄りの入国管理官署に出頭して手続を受けてください。なお、詳しくは、入国管理局ホームページに掲載している「出頭申告のご案内~不法滞在で悩んでいる外国人の方へ~」を御覧ください。
ます。
Q5 在留カードはどこで申請できますか。
成田空港、羽田空港、中部空港及び関西空港においては、旅券に上陸許可の証印をす るとともに、上陸許可によって中長期在留者になった方には在留カードを交付します。 その他の出入国港においては、旅券に上陸許可の証印をし、その近くに次のように記 載します。この場合には、中長期在留者の方が市区町村の窓口に住居地の届出をした後 に、在留カードが交付されることとなります(原則として、地方入国管理官署から当該住居地に郵送されます。)。
Q6 どのような時に在留カードを更新しますか。
在留カードには、氏名、生年月日、性別、国籍・地域、住居地、在留資格、在留期間、就労の可否など、法務大臣が把握する情報の重要部分が記載されていますので、記載事項に変更が生じた場合には変更の届出を義務付けており、常に最新の情報が反映されることになります。また、16歳以上の方には顔写真が表示されます。
Q7 在留カードがなくしたときはどうしますか。
在留カードが紛失、盗難、滅失その他の事由により在留カードの所持を失った場合は在留カードの再交付申請を行います。これらの事由により在留カードの所持を失ったときは、その事実を知ったとき(本邦から出国している間にその事実を知った場合は、その最初に入国した日)から14日以内に、法務省令で定める手続により、法務大臣に対し、在留カードの再交付申請をしなければなりません。
なお、必要書類等の詳細についてここで解説することはできませんが、状況によって行政書士事務所ビザドエイティに相談すれば良いと思います。
Q8 不法就労の場合の罰則は?
適法な在留資格をもたない外国人が就労した場合、3年以下の懲役若しくは禁固若しくは300万円以下の罰金となります。
また、そのような外国人を雇っていた事業者や業として不法就労者を事業者に斡旋した人は3年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金となります。
(平成16年12月2日施行の新入管法により改正されました。)
Q9 外国人を雇用する際の注意点を教えてください。
外国人の不法就労の罰則については前述しましたので、ここでは、いわゆる労働者としての外国人の権利について考えてみましょう。
この場合考えなくてはならないのが、外国人労働者に対しても日本の労働法が適用されるかという問題です。
これについては就労可能な在留資格を有して働いている外国人はもちろんのこと、不法就労の外国人であっても、労働基準法等の労働法は日本人の場合と全く同じように適用されます。したがって、外国人を雇用する側としては、外国人であるが故に労働条件等において他の日本人従業員との間で差別することは許されません。
不法就労者の場合、どうしても弱い立場になり、賃金の不払いや不当な解雇をすることが見受けられます。くれぐれもそのようなことのないよう気を付けて下さい。
また、就労可能な在留資格をもっている外国人が、在留期間を残して、働いていた会社を辞めて転職するような場合は、入国管理局に対して「就労資格証明書」の発行を申請することができます。
これにより外国人の方は、その後の在留資格の更新の際に不許可になって慌てることもなくてすみますし、雇用する側としは、その外国人を雇うことについて問題がないことが証明されますので安心して雇うことができます。
Q10 外国人が就業中にケガをしました。どうすればよいのでしょうか?
外国人であっても、日本国内で労災事故に遭った場合は、日本人と同じように原則的に労災保険が適用になり保険金が支給されます。この場合、外国人がオーバーステイや資格外活動(いわゆる不法就労)の状況でも、保険を受ける権利があることに変わりはありません。
本人がオーバーステイ等の問題によって、保険金の請求を断念する、あるいは同様の理由で雇用主がその手続きに協力しないケースもあるようですが、手続き中は入管への通報はなされない場合が多いため、事故の被害者を救済するために労災の適用申請については積極的に対処するべきです。
Q11 外国人が交通事故に遭いました。対処方法は?
外国人が交通事故の被害に遭って損害賠償を求める場合でも、基本的には日本人が被害者の場合と同様に、加害者(あるいは加害者が加入していた保険会社)に対して、治療費や休業損害、逸失利益、慰謝料などを請求することになります。
この際に問題となるのが、被害に遭わなければ得られたであろう所得等についての損害を請求する逸失利益の算定です。この逸失利益を算定する際の基準として、日本国内の所得水準(平均賃金等)を参考にするべきか、または被害者である外国人の母国の水準を参考にすべきかという問題が発生します。
この問題は、外国人が在留資格をもっているのか不法滞在か、就労が可能な者か不法就労か、事故後も日本に継続して在留するか帰国するかや、被害の内容(死亡事故、後遺障害の有無等)によって検討しなければならない点が多くあります。
このような事件を扱った裁判の判例をみても、日本国内の水準を認めるものとそうでないものがあり一概にいえないのが現状のようです。 ですが、被害にあった外国人の立場を考えれば当然日本国内の水準をベースに損害を賠償してもらえるよう請求すべきですし、憲法に定められている 「法の下の平等 」や損害賠償における当事者間の損害の公平な負担の観念に照らしてみてもそうするべきでしょう。
Q12 日本人と結婚したり出産した場合、外国人は戸籍にのりますか?
外国人が日本人と結婚した場合は、日本人である夫(または妻)を筆頭者とする新戸籍が編製され、外国人である妻(または夫)は、日本人配偶者の戸籍に当該外国人と結婚したという記載のみがされます。(外国人の戸籍は編製されません)
また、またその夫婦の間で子供が生まれた場合、子供は日本人として日本人の父(または母)の戸籍に記載されます。(もちろん母または父である外国人の名前も記載されます。)
外国人との結婚によって新戸籍が編製される場合、通常は日本人配偶者の結婚前に名乗っていた氏により記載されますが、結婚後六ヶ月以内に届出をすることにより、外国人配偶者の氏に変更することができます。(この場合、アルファベット等の外国文字は使用できませんので、カタカナをあてることになるでしょう。)
なお、この場合であっても、外国人配偶者の戸籍が編製されるのではないことは、前述のとおりです。
Q13 外国人も税金を納める義務がありますか?
日本の税金の中でも外国人に関わってくる可能性の高いものは、所得税と住民税だと思われます。一口に外国人といっても、その滞在期間の長短(一年以上滞在しているかどうか?)や住所(あるいは居所)の有無等によって扱いは異なりますが、原則的には外国人であっても日本人と同じように、日本国内の所得に課税されることになります。
そして、雇用主としては、外国人従業員の場合でも日本人の従業員と同じように、所得税を源泉徴収した上で給与を支払うことになります。
住民税の場合も同様で、その年の1月1日の住所または居所において課税されます。
そして、確定申告をしなければならない場合や確定申告をすれば税金の還付が受けられる場合があることも、日本人の場合と同様です。ただし、外国人の場合、日本国外での所得がある場合や、国外に住んでいる被扶養者に対して送金している場合など、日本人の場合とは異なるケースも多いと思います。その都度税理士や税務署などに相談して申告の方法を確認するべきでしょう。
また、確定申告が必要なケースで確定申告の期限以前に出国してしますような場合には、二通りの対処の仕方があります。
まず、本人に代わる納税管理人を選任して、その納税管理人がすべての手続きを本人に代わって行い、還付金の受領も行うようにすることができます。この場合、本人が事前に納税管理人の届出を税務署に提出しておく必要があります。
もう一つの方法は、出国前に申告を済ませておいて、還付金がある場合はその受領のみを代理人に任せる方法です。この方法をとるには、申告時に受領に関する委任状を税務署に提出しておくことが必要です。