世間では平成27年度補正予算の補助金の話題が花盛りという感じです。
アスパルの補助金・助成金をもっと賢く活用するサイト「補助金・助成金.com」http://shikin-hojokin.jp/でも情報をお伝えしています。
ちゃんと情報をチェックし、申請準備が進んでいますか?
さて今日は補助金の話題から少し離れ、外国人の話をさせてください。
先日、日本政府観光局から発表された2015年の訪日外客数は、前年比47.1%増の1,973万7千人となりました。
過去最大の伸び率を示すとともに、1970年以来45年ぶりに訪日外客数が出国日本人数を上回りました。
今後もこの勢いは続きそうな状況です。
「2020年に向けて年間訪日外国人旅行者2000万人を目指す」としていた政府の『観光立国アクションプラン』はすでに視野に入り、「2000万人時代の早期実現を図る」という表現に変わってきています。
このように外国人というと訪日外国人に注目が集まりますが、実は日本に住んでいる外国人も増えています。
法務省の発表によれば、2015年末時点で223万人あまりの外国人が日本に在留しているそうです。
これは、これまでのピークだった2008年の214万人を上回る過去最高の数字です。
当然日本で働く外国人も増える傾向にあります。
ですが、働くためのビザの壁は依然として厚く、ことはそれほど単純ではありません。
そこで今回は、日本で働く外国人に関連する政策の中から「国家戦略特区(以下、特区と表記)」による規制緩和を活用し、外国人労働者の受け入れを促進する、2つの施策をご紹介します。
『家事支援外国人の受入れ』
まず特区において、炊事や掃除、子供の世話などの家事支援を行う外国人(いわゆる家政婦さんです。)の在留が、「特定活動」の在留資格で認められるようになりました。
日本では入管法で原則として、家事支援を目的とする外国人の入国を認めていません。 (例外的に外国人経営者などの家庭で働く家政婦さんの
ためのビザはあります。)
しかし特区では、満18歳以上で、1年以上の実務経験や最低限の日本語能力などを条件に、家事労働が認められるようになりました。
特区内の日本人家庭において、外国人家政婦さんが働けるようになったのです。
ただし個人契約は認められません。
特区内での家事支援サービスを行う会社と外国人の方が、フルタイムで家事支援を行う雇用契約を結び、会社と個々の家庭の間で請負契約をするという形になります。
また、家庭の中に入っていくことで、家事支援外国人に対して人権侵害にあたるようなことが起きないような配慮も必要です。
住込みは禁止で、日本人と同等以上の報酬を支払い、期間も通算3年までとなっています。
また雇用状況について、自治体などが年1回監査も行います。
かなり制限された内容にはなっていますね。
現在は、神奈川県が3月から、大阪府が4月から、政府の承認を得て受け入れを始めることになっています。
現状は特区だけの限定ですが、当事務所にも、外国人の家政婦さんやベビーシッターさんを活用したビジネスに関するご相談をお受けしました。
日本で働くフィリピン人の家政婦さんは高学歴の方が多く、お子さんの英語教育にも役立つことから、日本人の家庭でも需要は多いのではないでしょうか。
こんなところから新しいビジネスが生まれるかも知れませんね。
『創業外国人の受入要件の一定期間猶予』
もうひとつは、特区における特例措置として、創業外国人の受入要件を6カ月間猶予するというものです。
外国人が日本で起業するには、「経営・管理」の在留資格が必要で、そのための要件があります。
(1)事業所が国内に確保されていること
(2)事業の規模が経営者以外に常勤職員が二人以上、
または資本金か出資の総額が500万円以上
となっています。
これまで日本にゆかりのない外国人が、日本での起業に新たにチャレンジする場合、この要件をスタートの段階で満たすことはかなり高いハードルとなっています。
そこで今回の特区における特例措置では、地方公共団体が創業事業計画の実現可能性を審査することにしました。
そして事業の安定性・継続性の要件を満たすことを確認した場合には、入国後6カ月以内に事業要件を満たす見込みがあれば入国が認められるようになりました。
つまり創業の見込みがある外国人は、6カ月間の猶予がもらえることになります。
「経営・管理」の在留資格要件をその間に整えればよく、事業を進めながら手続きもできるようになります。
特区の中で、現在のところ東京都と福岡市がこの特例措置を活用していく予定です。
今後は、介護の分野でも外国人を受け入れるための法改正が予定されています。
介護人材受け入れの動きについては、次の機会でお話しさせてください。