前回、親を呼び寄せるためのビザはあくまでも特例中の特例だということをご紹介しました。申請方法も他のビザと違い、一旦「短期滞在」ビザで来日し、滞在中に在留資格を「特定活動」に変更することになります。

ではどういう条件が揃えば、この「特定活動」のビザがもらえるかなのですが、「それは入国管理局の審査官による判断に託すしかない」というのが実情なのです。

ただ審査の最低限の判断基準としては、以下が考えられます。
・親が高齢(70歳以上が目安)で、健康状況から見て一人暮らしが難し く、かつ現地に身の周りの面倒をみる人がいないこと

・日本で世話をする子供の方に、安定的に十分な収入が得られていること

日本に居る子供の収入については、ある程度明確にすることができるため判断しやすいですが、納税証明や在職証明をきちんと提出できることが必須となります。一方親が一人暮らしできるかどうかの判断については、どうしても審査官の微妙な判断に頼らざるを得ないのです。

一例ですが、ある日本国籍に帰化した依頼人が、自分の父親が心配で一緒に日本で暮らしたいと入管に相談にきました。その父親はまだ60歳半ばで、2年前にがんの手術を受けた。手術は成功し回復もして、その後は定期的に検査を受けている状況だそうです。

この場合、まず年齢的にちょっと厳しく、かつ今は元気になっているので、申請は難しいと助言しました。しかし依頼人は、駄目でも申請してみるとのことで申請したのですが、案の定「特定活動」のビザはおりませんでした。理由は、やはりその親はまだ若く、元気にしているので、一人の生活に支障がないと判断されたからです。

がんの手術をすることは、結構一大事だとは思うのですが、それだけでは十分な理由にならなかったようです。

皆さんも、どうしても申請してみたいという場合は、前回もお話ししましたが、できるだけ専門家に事前に相談し、できる限りの海外の必要書類(戸籍謄本、親族関係の公証書、病院の診断書等)をきちんと用意できるかが、とにかく重要だと思います。