なかなか身近には考えにくい、相続や遺言。自分を含め、家族の誰かの死を想定しなければならないわけですから、当然です。でも、ただでさえ問題になりやすく、必要に迫られて慌てて行うためか、トラブルが多いというのも事実。いちばん争いが多いのが、相続人の間で遺産を分割する時、ドラマ以上に「仲がよかった家族が、泥沼の争いを・・・・」ということさえ少なくありません。そんな相続を、“争続”にしないために役立つのが遺言です。ここでは、相続と遺言のポイントを分かりやすくご紹介しましたので、参考にしてください。
相続~財産を受け継ぎ、問題を受け継がないために!
相続には、法定相続人や相続財産の調査、相続分の確定、登記や相続税の計算など、大変な作業が待っています。もし相続人の間で、争いがあった場合はなおさらです。特に問題のないような場合でも、後々のことを考えれば、きちんとした手続きで権利関係を確定させておくことが大切です。
また、相続手続きには期限が決められているものもあり、遅れたために手続きが増えたり、罰金が課せられる場合もありますので、ムダな費用がかからないためにも、ぜひ早めに手続きを済ませてください。
遺言~故人の遺志を実行し、相続を“争続”にしないために!
相続の際に、故人の遺志を実行し、争いが起こらないためにある「遺言書」。相続が発生した際に、まず行われるのが遺言の存在確認なのです。ある場合は、その内容に従って、無い場合は法律にもとづいて行われます。ただ相続決定後に遺言が見つかった場合はやり直しになりますので、遺言の有無は確実に行ってください。
考えたくないことですが、いつ何が起きるか分からないというのも人生。ある程度、個人の財産を築かれたら、早めに遺言をお考えになる方も増えています。それがご自分の遺志を後世に確実に伝え、ご家族などに問題を残さないためでもあります。
相続・遺言など、親身になってご相談をお受けしています。
相続人の確定(本人でなければ判らないような血縁者が存在することもまれではありません。)や相続分について、遺産分割協議書を作成することなどは、行政書士の得意な分野の一つです。私たちは、法的に秘守義務を負っていますので、安心してご相談いただけます。万が一、相続人の間で争いがある場合には、さらに複雑になりますので、弁護士、税理士などの専門家とともに対応させていただきます。
また、遺言書を作成する際、第三者に相談しながら決めたい、より信頼できるカタチで残したいとお考えの場合も、以下の遺言書の種類を参考にぜひ、ご相談ください。
遺言書には、2方式あります。
一般的な普通方式と特別方式があり、普通方式には以下の3種類があります。
普通方式
自筆証書遺言
自分で書いて、自分で管理する方式。以下の2種のように第三者に頼ることなく、ご自分で手軽に作成できる遺言です。ただ手軽にできる一方で、自分で法律に沿って作成しなければならず、万が一不備があった場合は無効になってしまいます。
公正証書遺言
遺言の作成に専門家である公証人が関与する方式。通常、遺言が不備などで無効になる心配がない上、遺言書の元本が公証人によって保管されるため、紛失・改ざんの恐れもありません。また、この方式による遺言書は、裁判所による検認が不要です。
秘密証書遺言
遺言の内容を秘密にできる方式。遺言を残したことは知らせても、その内容を秘密にしたい場合に使います。遺言書自体は自分で作成し封印しますが、その後、公証役場で、公証人、証人2名とともに遺言書の存在を確認し、記名押印します。遺言書は、本人が保管することになります。
特別方式
特別な事情がある場合の遺言です。たとえば、病気やケガで死期が迫っているなど、普通方式で遺言を作成することができないときに使います。
よくある質問
Q1. 遺言書の内容は、どんな内容でもいいのですか?
A.ご家族に故人の思いを託す遺言書の場合は、どんな内容でも構いませんが、遺言書として効力がある内容は、法的に決まっていて、以下の項目がそれにあたります。
Q2. 遺言書の検認や開封とは、どんな意味ですか?
A. 遺言書の保管者や発見者は家庭裁判所に提出して検認の請求を、封印のある遺言書は相続人または代理人の立会いの上で開封してください。もし、検認を受けなかったり、勝手に開封してしまった場合は、遺言自体が無効になってしまいますので、ご注意ください。
相続分の指定および指定の委託
遺産分割方法の指定、および指定の委託
遺贈
子供の認知
相続人の廃除
後見人の指定
遺言執行者の指定
Q3.遺言検索システムがあると聞きましたが、どんな時に使いますか。
A. 遺言検索システムは、日本公証人連合会によって行われているサービスで、全国の公証役場等で作成されたすべての「公正証書遺言」の有無などのデータが、コンピュータに登録されています。せっかく遺言書を作成したのに、発見されないために、遺言者の意志が実行されないことを防ぐために生まれた制度です。故人が生前に 「遺言を書いた 」と言っていたが、どこにも見当たらない場合など、各公証役場を通じて照会できます。なお「公正証書遺言」は、その有無を照会したり、閲覧や謄本を請求できるのは、利害関係人に限られています。利害関係人とは、遺言者本人が生存中は、本人のみ。本人が死亡した場合は、原則として法定相続人が利害関係人となります。詳細は、お近くの公証役場にお問い合わせください。
Q4.相続協議中、預貯金口座は、どのようにしておくべきですか。
A.相続がはじまり、遺産分割が決まるまでの間、遺産は相続人全員の共有財産になります。この期間は、不動産、有価証券、預貯金もこの対象となり、相続人でさえ一人では何もできません。金融機関でも、本人の死亡を知った時点で、保全のために預貯金口座を閉鎖することになっているので、一人では金銭の引出しができなくなります。ただ、借入金やクレジットの引落しの口座がある場合は、引落しができずに延滞金などが発生してしまいます。至急、相続人全員の同意書を作成して、閉鎖を解除したり、相続人代表の口座をつくってください。相続人同意の書類は、通常各金融機関に用意されています。
Q5. 相続発生後の手順とその期限について教えてください。
A.死亡が確認されると、まず通夜や葬儀が行われ、その後に相続に関する法律上の判断や手続きが始まります。民法や相続税法にさまざまな手順が定められ、期限がある手続きもありますので、専門家にご確認ください。たとえば以下の相続放棄などは、早めに済ませたいものです。
[相続放棄・限定承認] <3ヵ月以内>
被相続人の財産や債務について、相続人がすべの財産を受け入れないことを「相続放棄」といいます。たとえば、被相続人の負の財産が正の財産よりも多い場合に「相続放棄」をすることによって、借金などを免れることができます。これは相続を知った日から3ヵ月以内に家庭裁判所に申述しなければなりません。また被相続人の財産をすべて無限に承継することを「単純承認」、正の財産の範囲内で負の財産を承継することを「限定承認」といいます。この「限定承認」は、相続を知った日から3ヵ月以内に家庭裁判所に申述しなければなりません。
Q6.名義変更が必要な遺産は、どんなものがありますか。
A. 相続人は、遺産分割によって取得した土地や建物などの財産の名義を、故人から自分の名義に変更しなければなりません。名義変更の必要なものを以下に明記しましたので、ご確認ください。土地や建物についての名義変更は大変複雑ですので、専門家にご相談された方が安心です。
[名義変更の必要なもの]
土地・建物、借地借家契約、預貯金、株式・債権、生命保険契約、車、電話加入権、特許権・商標権・意匠権、著作権、貸付権、売掛金、裁判上の損害賠償請求権など。
Q7.相続放棄をした場合、同時に発生した生命保険金も放棄になりますか?
A. 生命保険に受取人が定めてある場合は、たとえ相続を放棄しても、保険金はその受取人の財産権であり、保険金を請求できます。