都道府県知事許可と国土交通大臣許可
建設業許可には、知事許可と大臣許可があります。
大臣許可
2以上の都道府県の区域に渡って営業所を設けて営業しようとする事業者が取得します。
知事許可
1の都道府県の区域内のみに全ての営業所を設けて営業しようとする事業者が取得します。
複数の営業所を有していても、同一の都道府県内にある場合は当然「知事許可」です。
同一法人で知事許可と大臣許可を同時に持つことはできません。
大臣許可を知事許可の上級許可ではありません。どんなに規模の大きな会社でも営業所がひとつの都道府県だけにあれば知事許可、規模は小さくても複数の都道府県に営業所があれば大臣許可と形式的に決定します。よって、その効力に差はなく、知事許可であっても他県に営業所を設置しない限りにおいては他県での営業が可能です。
営業所について
ここでいう営業所は次の要件を備えているものをいいます。
- 請負契約の見積り、入札、契約締結等の実体的な業務を行なっていること
- 電話、机、各種事務台帳等を備え、居住部分等とは明確に区分された事務室が設けられていること
- 経営業務の管理責任者又は令第3条の使用人((1)の権限を付与された支店長、営業所長など)が常勤していること
- 専任技術者が常勤していること
したがって、単なる登記上の本店や事務連絡先、工事事務所、作業所等はこの営業所に該当しません。
建設業許可の区分 ~特定建設業と一般建設業~
建設業許可は、一般建設業許可と特定建設業許可に区分されています。
建設工事の発注者から直接工事を請け負う者(元請業者)が、一件の工事につき下請代金の総額が3,000万円(建築一式工事は、4,500万円)以上となる下請契約を締結して工事を施工する場合は、特定建設業許可を受けなければなりません。
それ以外の場合は一般建設業許可が必要となります。
【発注者(施主)】
【元請】
●建築一式工事
4,500万以上(特定建設業)
4,500万未満(一般建設業)
●建築一式工事以外
3,000万以上(特定建設業)
3,000万未満(一般建設業)
※金額には消費税を含みます。
【下請(一次)】
この場合の下請とは『一次下請』のことであり、二次以降の下請に対する金額の制限はありません。
あくまで『建設工事』の下請負契約代金なので、測量業者への測量委託代金・資材業者への資材購入代金・警備会社への警備請負代金・運搬業者への運搬請負代金などは含みません。
同一の業種について、特定建設業許可と一般建設業許可の両方を受けることはできません。
例:
東京本社で特定「建築工事業」の許可を受けている建設業者が、大阪支社でも「建築工事業」を取得したいと考えた場合、大阪支社でも特定の要件を備えた専任技術者が必要となります。「東京は特定」「大阪は一般」というわけにはいかないのです。
同一法人が(異なる業種について)特定建設業許可と一般建設業許可の両方を受けることは可能です。例:「A業種については特定建設業許可」「B業種とC業種については一般建設業許可」というような建設業許可の受け方をしている場合です。(*建築工事業は特定建設業、内装仕上工事業は一般建設業など。)
特定建設業の許可を得た建設業者が、特定建設業の用件を満たさなくなった場合、一般建設業となるのではなく廃業しなければなりませんので注意が必要です。
特定建設業の廃業と一般建設業の許可申請の間に空白期間が生じると建設業法違反のおそれがありますので、注意が必要です。
地方公共団体等が公共工事を発注する場合においては、「特定建設業許可の取得」を条件とすることが多いようです。
一括下請契約の禁止~丸投げの禁止
特定建設業であっても、請け負った建設工事をそのまま一括して他の業者に請け負わせる契約は、あらかじめ発注者の書面による承諾を得た場合以外は禁止されています(公共工事については全面的に禁止)。この一括下請の禁止は、2次以降の下請契約についても同様に適用されます。
指定建設業とは?
土木工事業、建築工事業、管工事業、鋼構造物工事業、舗装工事業、電気工事業、造園工事業の7業種について特定建設業許可を受けるためには、1級の国家資格、技術士の資格者又は大臣認定を受けた者が、専任技術者として営業所に常勤していなければなりません。
その他の建設業種について特定建設業許可を受ける場合の専任技術者は、上記の資格者等に加え、実務経験(指導監督的実務経験)を有する者でも就任することができます。
『知事許可』か『大臣許可』かそして『特定建設業』か『一般建設業』か
ちょっと迷ってしまうかも知れません。でも、あまり悩まないでください。
現在営業している状況を教えていただければ結構簡単にどの種類にすべきか、お答えすることができます。
迷ったときには、ご遠慮なく無料相談にご連絡ください。電話でのご相談も承っています。